中間決算前にやる原価率・粗利チェック|9月の経営点検リスト

公開:2026年8月31日

中間決算前に「数字」を直視する理由

3月決算の事業者にとって9月は事業年度のちょうど折り返しです。上期の実績を確認して軌道修正するラストチャンスでもあります。「売上は伸びているのに手元にお金が残らない」という状態の多くは、原価率と粗利の問題です。決算書が出てから後悔しないよう、今月のうちに数字を点検しておきましょう。

このリストは飲食店・食品製造業(製造小売含む)を想定しています。3月決算以外の事業者は「上期の折り返し月」に読み替えてください。


まず確認する3つの数字

中間決算前の点検で最初に見るべきは以下の3つです。

指標計算式飲食店の目安食品製造の目安
原価率原価 ÷ 売上高 × 10025〜35% 前後30〜40% 前後
粗利率粗利 ÷ 売上高 × 10065〜75% 前後60〜70% 前後
FL比率(原価+人件費)÷ 売上高 × 10055〜65% 前後

[要確認:業種・業態・地域によって目安は大きく異なります。日本政策金融公庫や業界団体の最新の業種別指標を参照して自店の基準を設定してください。]

原価率と粗利率は足すと100%になります。「原価率が下がれば粗利率が上がる」という関係を念頭に置いて読み進めてください。


9月の経営点検チェックリスト

① 上期(4〜9月)の原価率を月別に並べる

まずExcelや会計ソフトから月別の売上と原価を引き出し、月ごとの原価率を計算します。

  1. 月別売上を書き出す
  2. 月別仕入・材料費を書き出す
  3. 原価率 = 仕入・材料費 ÷ 売上高 × 100 で計算
  4. 前年同月と比較する

ここで見るポイント

  • 特定の月だけ原価率が跳ね上がっていないか
  • 緩やかに上昇トレンドを描いていないか(食材費の値上がりが吸収できていないサイン)
  • 売上が落ちた月に原価率が急上昇していないか(固定的な仕入があるとこうなります)

② 商品・メニュー別の粗利を確認する

全体の原価率が目安の範囲内でも、稼ぎ頭の商品が「売れているのに儲かっていない」状態になっていることがあります。

点検の手順

  1. 売上上位10品の原価と粗利額を書き出す
  2. 粗利率(低い)× 販売数(多い)の商品に印をつける
  3. その商品の価格か原価のどちらを見直せるか判断する

たとえば月100個売れているケーキが1個あたり原価300円・販売価格600円(原価率50%)なら、粗利は月3万円です。原価率を40%に下げると粗利は月3.6万円に増えます。1商品でも積み上げると年間で大きな差になります。


③ 食材・材料の仕入単価を上期と比較する

原価率悪化の原因として多いのが「単価の見直しをしていないまま仕入価格が上がり続けている」ケースです。

チェック項目

  • 主要食材の4月と9月の仕入単価を比較したか
  • 仕入先から値上げの通知が来ていないか(見落としていないか)
  • 代替材料や仕入先の変更で原価を下げられる余地はないか
  • 原価率を販売価格に反映(値上げ)できていない商品はないか

④ ロス・廃棄の金額を把握する

仕入れた食材や原材料のうち、売上に変わらなかった分は「見えない原価」です。廃棄ロス・製造ロスの合計を出してみてください。

  • 食材廃棄の量と金額(月平均)
  • 製造工程でのロス率(使った材料量 ÷ 完成品量)
  • 賞味期限切れや売れ残りによる値引き額

[要確認:廃棄ロス率の業界目安については、業種・規模によって異なるため、経営改善の専門家や業界団体の資料を参照してください。]


⑤ 人件費との合算(FL比率)を見る

飲食店では原価率単体だけでなく、人件費との合算で判断する「FL比率」が実態に近い指標です。上期のFL比率を計算して目安と比較してください。

  • FL比率が65%を超えているなら、原価・人件費のどちらかが重い
  • 繁忙期と閑散期でFL比率がどう動くか確認する

製造小売(菓子店・パン店など)では、人件費を「製造人件費」と「販売人件費」に分けて把握すると、どちらのコストが重いかが明確になります。


点検後にやること:改善の優先順位のつけ方

点検で課題が複数出た場合は、以下の基準で優先順位をつけると動きやすくなります。

優先度状況対応
原価率が目安を5ポイント以上超えている主要商品の原価を即確認・価格改定を検討
特定月の原価率が突出して高い廃棄・仕入過多・値上げ吸収漏れを特定
仕入単価が上期に上昇している代替仕入先・数量交渉・価格転嫁を検討
売れ筋商品の粗利率が低いレシピ見直し or 価格改定を検討
FL比率がやや高め下期のシフト最適化・繁閑対応を計画

レシピと原価が一元管理されていると点検が速い

上記の作業で最も時間がかかるのは「商品・メニュー別の原価を出す」ステップです。レシピと材料の単価がバラバラに管理されていると、仕入単価が変わるたびに手計算をやり直す必要があります。

レシピに材料単価を紐づけて管理するツールを使うと、仕入単価が更新されたタイミングで原価が自動的に再計算されます。Coboard のような原価計算クラウドでは、材料単価を更新するだけで全レシピの原価率・粗利が一括で変わるため、中間決算前の点検がExcelの半分以下の時間で済みます。


まとめ:9月の点検チェックリスト

  • 月別の原価率を上期6ヵ月分で集計した
  • 売上上位10品の商品別粗利を確認した
  • 主要食材の仕入単価を4月と比較した
  • 廃棄ロスの金額を把握した
  • FL比率(飲食店)を計算して目安と比較した
  • 課題に優先順位をつけて下期の改善計画を立てた

決算月に「思ったより利益が出ていない」と気づいても、その期の打ち手はほぼありません。9月のうちに数字を直視して、下期の6ヵ月で巻き返せる状態を作るのが中間決算点検の目的です。

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