原料原産地表示の義務と実務ポイント|加工食品メーカー必読ガイド
原料原産地表示は「全加工食品」が対象――まずここを確認
2022年3月末をもって移行期間が終了し、国内で製造・加工されるすべての加工食品に原料原産地表示が義務付けられています。「うちは小さなお店だから関係ない」は通じません。菓子・惣菜・パン・ジャム・漬物など、パックに入れて販売する加工食品を作っているなら、製造規模にかかわらず表示義務の対象です。
まず全体像を把握し、そのうえで実務の記載方法を確認しましょう。
原料原産地表示の義務:対象と根拠
法的根拠
食品表示法(2015年施行)および食品表示基準に基づきます。農林水産省・消費者庁が所管しており、違反した場合は指示・命令・罰則の対象になります。
表示が必要な食品・不要な食品
| 区分 | 原料原産地表示 |
|---|---|
| 国内製造の加工食品(容器・包装あり) | 義務あり |
| 輸入品(外国製造) | 原則不要(原産国表示は別途必要) |
| 業務用(一般消費者向けでない) | 対象外(取引先への情報提供は別ルール) |
| 飲食店での提供(持ち帰り含む) | 対象外 |
ポイントは「国内で製造・加工して、一般消費者向けに容器包装に入れて販売する」場合に義務が発生するという点です。マルシェや催事でパック販売する場合も同様です。
どの原材料に表示が必要か
重量割合1位の原材料が対象
すべての原材料に原産地を書く必要はありません。**原材料の重量割合が最も高い原材料(第1位)**が表示対象です。ただし、第1位の原材料が複数の産地から仕入れている場合はすべての産地を記載するか、割合の多い順に列挙する必要があります。
例)りんごジャム 原材料中の重量1位がりんごであれば、りんごの産地を表示します。りんごが「青森県産」「長野県産」の2種類を使っていれば、割合の多い順に「青森、長野」のように記載します。
[要確認: 添加物・加工助剤・キャリーオーバー等の扱い、および「複合原材料の内訳表示」の要件については、消費者庁の「食品表示基準Q&A」で最新情報を確認してください。]
記載方法の3つのパターン
消費者庁が認めている記載方法は主に以下の3パターンです。状況に応じて選択します。
① 産地名を直接記載する(最もシンプル)
原材料名:りんご(青森県)、砂糖
仕入先の産地が安定していて変動しない場合に向いています。
② 複数産地を割合順に列挙する
原材料名:りんご(青森、長野)、砂糖
複数の産地から仕入れている場合、重量割合の多い順に並べます。
③ 「又は」表示(産地の変動がある場合)
原材料名:りんご(青森又は長野)、砂糖
季節や調達状況によって産地が変わる場合は「又は」でつなげます。使用する可能性のある産地をすべて列挙する必要があり、実際に使っていない産地は記載できません。
[要確認: 「又は」表示の要件(過去の実績・今後の予定など)の詳細は食品表示基準Q&Aで確認してください。]
記載場所
原料原産地は原材料名の表示枠内または**別記欄(専用欄)**に記載します。どちらでも問題ありませんが、消費者が見やすい位置に配置することが求められます。
小規模製造業が特につまずくポイント
1. 複合原材料(加工品を原材料に使う場合)
市販の「あんこ」や「カスタードクリーム」など、すでに加工された食品を原材料として使う場合は複合原材料として扱います。複合原材料の場合、その中身の原材料まで展開して重量割合1位を判定する必要があるケースがあります。
[要確認: 複合原材料の扱い(開示義務の有無、省略できる条件)は消費者庁Q&Aで確認してください。]
2. 仕入れ先から産地情報を得られていない
原産地表示の正確性は、仕入先からの情報提供が前提です。納品書・規格書などに産地が記載されているか確認し、不明な場合は仕入先に書面で確認を求めましょう。「わからないから書かない」は認められません。
3. 産地が変動するのに「又は」表示を使っていない
産地固定のつもりで直接記載していたが、実際には季節によって仕入れ先が変わっていた、というケースが典型的なミスです。仕入れ状況を定期的に見直し、ラベルの記載と実態が合っているか確認する習慣をつけましょう。
実務チェックリスト
販売前に以下を確認してください。
- 重量割合1位の原材料を特定している
- 仕入先から産地情報を書面(納品書・規格書等)で取得している
- 産地が変動する場合は「又は」表示または割合順の列挙を使っている
- 複合原材料を使っている場合、内訳の確認が必要か判断している
- 原産地の記載が原材料名の表示枠または別記欄にある
- ラベルの記載と実際の仕入れ産地が一致している
食品表示ラベルの作成に手間を感じている場合
原料原産地表示を含む食品表示ラベルの作成は、材料・レシピ・アレルゲンの情報が正確に整理されていれば大幅に効率化できます。
Coboardでは、材料マスターに産地情報を登録しておくと、レシピから食品表示ラベルを自動で組み立てられます。「重量1位の原材料に産地を表示する」という実務上の判断は人が行う必要がありますが、原材料名の並び順やアレルゲンの一括表示など、ルールに沿った構成を自動で整えるため、入力ミスや記載漏れのリスクを減らせます。
ラベルのサイズ変更や印刷形式(PDF・PNG・P-touch差し込み用CSV)にも対応しているので、ラベル作成の工数削減に役立ちます。
まとめ
- 国内製造のすべての加工食品(容器包装あり・一般消費者向け)に原料原産地表示が義務。小規模事業者も対象。
- 表示対象は重量割合1位の原材料。複数産地がある場合は割合順に記載、変動がある場合は「又は」表示。
- 記載の正確性は仕入先からの産地情報取得が大前提。納品書・規格書で確認する習慣をつける。
- 複合原材料の扱いなど個別判断が必要な部分は、消費者庁の食品表示基準Q&Aや保健所への事前確認が確実。
ラベル表示は「作って売る」事業の法的義務の核心です。一度仕組みを整えれば毎回の作業負担は大きく減るので、まず材料ごとの産地情報の整理から始めてみましょう。
